民法について学ぶ【物権編】

民法を学ぶ上で物権債権について深く知ることが大事のようです。なので、まずこの記事では物権について書いていきます。

利益衡量

利益衡量とは2つの利益をはかりにかけること。法的判断において、当事者間の相対立する利益を比較し、より大きな利益をもたらす結論を導き出す作業のこと。

例1

Aは大事な宝石を友人のBに一日だけ貸してほしいと頼まれ貸した。しかしAは、友人のCに宝石を売って引き渡してしまった。Cは宝石をちょうど探していたところだった。Aは売った宝石をサラ金への返済に当てた為、今は無一文である。

Bは悪人で、AとCは善人の被害者です。

AはBに宝石を貸しただけなのに、宝石がなくなっては心痛に察するものがあります。Aが悪いと言ってもAのところに宝石はなく、損害賠償を請求しようにもAには金がなく、宝石を取られておしまいになりそうです。

Cは大金を出して宝石をBから買いました。宝石をAに返さないといけないとなると、サラ金にお金を払ったBからお金を取り返すあてがないです

この問題が訴訟に持ち込まれると・・・

この問題は法律上、宝石の所有権はAとCどちらなのかという争いになります。

Aが悪いのは分かりますが、金のない人に訴訟を起こしても費用倒れになるだけなので、宝石の所有権を争うのが現実的。

ここで裁判所はAとCが善人な為困りました。この裁判所が困る問題を法律問題といいます。裁判所は宝石を仲良く使ってねとは言えない。それは、※一物一権主義に反するためです。とすると、宝石はAかCのものになります。

※一物一権主義とは・・・1つの物には1つの所有権しか成立しないという意味。

裁判所はどちらかに決めなければならず、解決法はどちらかに泣いてもらうしかありません。

< Cの立場で考える >

宝石を買ったCは何とかAにいちゃもんをつけたいはずです。CはAになんと言えばよいか?

「AがBに宝石を貸したのでこういう事件が起きたのではないか」と言えば良いです。信頼できないBの人格を見抜けなかったAに※帰責事由があると言えるからです。

また、こうも言えます。「宝石を持っているAが所有者と信じただけだ。買った物が自分の物にならないのでは安心して売買ができない。資本主義の世の中の仕組みを守って売買の信頼性を高めることが大事だ。」この安心して売買できることを※取引の安全と呼ぶ。

以上のようにCは

1. Aの※帰責事由の追及

※帰責事由

責任を取るべきだという理屈の事。民法の条文でちょいちょい出てくる。

2. ※取引の安全の法理

※取引の安全

取引を行った者の利益を図ること。虚偽の外観を信頼して取引に入った者の信頼を保護する法理。

の2点の主張ができる。このままではAが負けてしまいそうです。Aはどうすればいいのか?実は、このケースは取引の安全を主張できるCのポイントが高いため、Aが負ける可能性が高いです。

ですが、この事例のようにABCに友人関係のある点がAに有利に働く可能性があります。

もし以下のような事実があったとしたら・・・

 1. CはAが宝石を大事にしているのを知っていた。 

 2. 宝石にはAのイニシャルが刻印されている。

 3. Bには過去にも他人のものを勝手に売った前科がある。そのことをCが知っていた。

 4. Bがサラ金に追われていたことは有名な話だった。

こうなると、AはCに対して次のような主張ができます。

「なぜ宝石を買う前にBの話が本当かどうか僕に連絡をくれなかったんだ?」これは強力な主張です。

CがBに対して疑問を持ち、Bに問い合わせれば事件は起こりませんでした。AからしたらCはうかつだったと言えます。このうかつだったを法律用語で※過失があると表現します。AはCの過失を証明できれば勝てます。

※過失

一定の事実を認識可能だったにもかかわらず、不注意から認識しないこと。条文にちょいちょい出てくる。

本日はここまで次回は占有について書きます!

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